基調講演・発表概要(2016 日本医療秘書実務学会 第7回全国大会)

2016年9月の日本医療秘書実務学会 第7回全国大会 基調講演および発表概要は以下のとおりです。

基調講演

テーマ 「これからの臨床現場で活躍する医療秘書とその育成」

講師:宮原 勅治 先生

プロフィール(概略)

  • 川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部
    医療秘書学科教授 学科長、大学院専攻主任、医療情報学科教授
  • 川崎医科大学 医療資料学教室 准教授・川崎医科大学附属病院 医療資料部 副部長
  • 京都大学大学院医学研究科博士課程外科系専攻 修了(医学博士)
    神戸大学大学院経営学研究科専門職大学院課程現代経営学専攻 修了(MBA)
  • 社)Project Management Institute日本支部 関西ブランチ副代表
    医療プロジェクトマネジメント研究会代表
  • 公益)日本医業経営コンサルタント協会
    企画調査提言委員会副委員長、情報活用専門分科会委員長
    認定医業経営コンサルタント

発表概要

(ご案内でお送りしているものとは、一部タイトルが修正になっている発表があります。本サイト上のものが最新情報です。 2016/06/24)

9月10日(土)15:30~16:30 
○藤原はるな(医療法人社団曙会 シムラ病院)ほか

 

診療補助業務の質向上への取り組みと今後の課題

当院では2014年よりメディカルアシスタントを導入し、現在整形外科医4名に対して5名のメディカルアシスタントが配置されている。外来・病棟での電子カルテ代行入力が主な仕事のひとつであるが、正確な診療補助を行うには専門的な医学知識が必要不可欠である。特に医師の発する医学英語・略語の聴取や入力に大変苦慮してきた。今回私たちが医学知識向上のため2年間取り組んできた院内勉強会の一法を紹介する。

○大塚 映(東京経営短期大学)

 

医療安全管理者の応対業務における評価基準と評価ガイドライン

2015年2月に実施した患者相談やクレーム対応・紛争解決等の応対業務における医療安全管理者の実態調査アンケートの結果から明らかとなったことを元に、医療安全管理者の応対業務における評価基準、評価ガイドラインを考察し、さらに評価シートとして作成した。評価の内容には3年未満と3年以上の「経験年数」による区分を設け、評価の項目には「資質・適性」、「能力」、「知識・技能」、「研修の受講」、「気づいた点」等を設定し、評価レベルは5段階、評価者は他者と自己の二者とする形とした。

○天野紀子(松山赤十字病院 医療秘書課)ほか

 

外科外来における医師事務作業補助者の取り組み

~チーム医療の一員として、医療の質向上を目指して~
当院では、平成20年8月から医師事務作業補助者(以下DA)による医師への支援を開始した。平成25年1月より電子カルテ導入となり、平成27年8月に15対1体制を整えた。現在、48名のDAが所属し31の診療科の多岐に亘る業務支援を行っている。その中で外科外来(外科・血管外科・乳腺外科)へ配置された専従DA 5名による電子カルテ代行入力、NCD登録、就労支援調査等の様々な取り組みについて報告する。

9月10日(土)16:40~17:20 
○中村純子(済生会熊本病院 医療秘書室)ほか

 

医療秘書室における行動計画の取り組みについて

済生会熊本病院は毎年事業計画を策定している。その事業計画を踏まえ、医療秘書室においても担当業務ごとにチーム分けをし、ワークショップという手法を用いて行動計画を策定している。

医療秘書室の業務内容を紹介し、行動計画の策定方法やその取り組みについて発表する。

○山本智子(川崎医療福祉大学)ほか

 

クリニカルリサーチセクレタリー®育成プログラムの開発~カリキュラムに焦点を当てて~

「クリニカルリサーチセクレタリー®」とは、病院の治験管理室や臨床研究センターなどにおいて、治験・臨床研究支援の事務を行う医療秘書、すなわち、治験に関わる各種書類の作成・管理に加え、治験事務等の「段取りをマネジメント」する人材である。本学(大学院医療秘書学専攻)では、クリニカルリサーチセクレタリー®育成プログラムを開発し、2016年度から育成を開始した。今回は、その育成プログラムの概要を紹介する。

9月11日(日)10:00~11:00 
○仁宮 崇(中国短期大学 総合生活学科)

 

政府統計の調査・分析による医療、福祉労働者のストレスの現状把握

厚生労働省の統計によると、仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスの有無において、医療福祉労働者では「強い不安、悩み、ストレスを感じる」と解答した人の割合が一番高い。平成27年にストレスチェック義務化法が施行され、労働者のストレス対策、心の健康を守る動きがある現在、ストレスを感じやすい医療福祉分野を中心に、労働者のストレス状況について政府統計を調査・分析した結果を報告する。

○坂田恵梨子(医療法人社団曙会 シムラ病院)ほか

 

病棟カンファから習得した医師事務作業補助者の業務拡大の成果
当院は、整形外科手術が年間700件程度ある二次救急指定病院である。2014年からメディカルアシスタント(MA)課が設立され、現在5名在籍している課員全員が医療現場での経験がない為、あらゆる業務で苦戦している。今回は手術申込み代行を円滑に行う為、院内カンファ・勉強会を工夫して行ってきた内容と成果について紹介する。

○濱野あや(川崎医療福祉大学大学院 医療福祉マネジメント学研究科)ほか

 

Diamond Mandala Matrixを用いた学会開催計画の作成

医療秘書の業務の中で、学会や研究会を開催するための計画書を作成することは一つの重要な領域である。そのためには学会や研究会開催のための作業を分解し、順序よく整理して漏れのない具体的な計画書を作成することが基本になる。今回、作業分解を支援するツール(DMM; Diamond Mandala Matrix)を用いて学会開催の作業分解を行い、学会開催計画書を作成した事例を報告する。

9月11日(日)11:10~12:10 
○浜田規子(高松短期大学 秘書科)ほか

 

医療事務コースにおける体験型教育モデルの提案

現在の医療事務現場は、慢性的な人材不足のため、病院・診療所にとって新卒者でも、即戦力となる人材が必要とされる。

そこで、高松短期大学秘書科では、今春からカリキュラムを一部改編し、医師事務作業補助者の資格を取り入れてはいるが、病院での医療事務経験後、本学秘書科に社会人学生として入学したことで、医療事務経験に基づいた進化した医療事務コースのカリキュラム改善を提案することを目的とする。

10 ○西山良子(川崎医療福祉大学大学院・関西女子短期大学)

 

近畿圏内における地域医療連携に係わる事務職の実証研究

地域包括ケアシステムを推進するためには、地域の医療機関との連携窓口になる「地域医療連携に係わる業務」は医療機関にとって欠かせない業務である。本研究では、近畿圏内の一般病床を有する病院の「地域医療連携に係わる事務職」を対象に、質問紙による実態調査を実施した。地域医療連携部門の事務職の業務内容、事務を行ううえで必要な知識や技能、求められる資質等の実態を明らかにすることが目的である。今回は、その調査結果を分析し、考察する。

11 ○百木絵理(済生会熊本病院)ほか

 

災害時における医療秘書の対応と今後の課題について

4月14日、震度7の地震が発生した。当院は震度5以上でスタッフが参集するルールがあり、事務部では年に2回ほど不定期訓練を行っている。地震後、本部やトリアージ班など自主的かつ冷静に担当業務を遂行できた。その中で医療秘書(医師事務作業補助者)の活動を報告する。今後は訓練の重要性を再認識し取り組むことが課題であり、災害に関する知識や技術を交流し学び合い、情報通信技術の活用と部署間の連携により、問題解決できる場を作る必要がある。

【ワークショップ】 9月11日(日) 午後

①業務構築と人材育成  進行:小妻幸男(済生会熊本病院)・星輝美(さいたま赤十字病院)

業務構築WSは、診断書、退院時要約、代行入力、がん登録、患者対応などの医師事務作業補助者の代表的なものより4つの業務構築を考えます。人材育成WSは、参加される方々の人材育成の実状を把握し共有した上で、良い部分を吸収しつつ、基本的な人材育成の方法を検討していきます。

②学会発表をするには  進行:増澤將江(篠原保育医療情報専門学校)・直江一彦(川口工業総合病院)

過去に実際に行われた発表内容を参考に、学会発表を行う上で注意する点やより良くするためにグループで討議していきます。

日本医療秘書実務学会の公式サイトです